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  • 福井 健人

不安症・不安障害とは?

最終更新: 2019年5月4日

初めまして、本記事では、不安症・不安障害について解説して行きます。


不安症・不安障害とは?

不安症とは、不安を過剰に感じてしまう症状を不安症・不安障害と言います。

例えば、

「人に嫌われるのが不安だから人と話さない」

「電車の中でパニック発作が起きる気がするから電車に乗らない」

「飛行機が落ちるのが怖いから飛行機に乗らない」

などなど、過剰な不安から、私生活に影響を及ぼしている状態を不安症・不安障害と言います。


そもそも「不安」は異常な現象ではなく、自分に警戒を促すために人に備わっている能力の1つです。この信号によって私たちは、危機に備えたり、危険を回避したりしやすくなります。しかし、その信号が過剰になったり、危険でないものにまで出されるようになったり、あるいは信号が適切であっても、それに続く行動が不適切なものになったりすると、それは人が生活していく上での「障害」となってきます。そのような不安の信号の出方や受け取り方に不具合をきたしている疾患の代表的なものが「不安症・不安障害」と言い表します。


ちなみに、不安症と不安障害という呼び名につていは特に違いはなく、障害という言葉から悪い意味にとらわれることを防ぐため、症という表現を使うことがあります。しかしながら、本サイトでは混乱を防ぐため、両表現を表記しております。


(参考:慶應義塾大学病院医療健康情報サイト


どのくらいの数の人が不安症・不安障害を経験するの?

世界精神保険(WMH)が実施した調査では、

不安障害を生涯のうちに1回以上経験する人(罹患率)は9.2%です。約10人に1人は不安障害を経験する計算になります。


また、現時点で不安障害の人(12ヶ月有病率)は5.5%で、20人に1人は今も不安障害を患っていることになります。

参考:平成 16~18 年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業) こころの健康についての疫学調査に関する研究 総合研究報告書


不安症・不安障害の分類

不安症・不安障害の分類には主にアメリカ精神医学会により出版されている、精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSM-5)という診断の手引きに従って表されます。

DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き

そして、DSM-5では不安症の分類を

  1. 分離不安症/分離不安障害

  2. 選択性緘黙

  3. 限局性恐怖症

  4. 社交不安症/社交不安障害

  5. パニック症/パニック障害

  6. 広場恐怖症

  7. 全般不安症/全般不安障害

  8. 物質医薬品誘発性不安症/物質医薬品誘発性不安障害

  9. 他の医学的疾患による不安症/他の医学的疾患による不安障害

  10. 他の特定される不安症/他の特定される不安障害

  11. 特定不能の不安症/特定不能の不安障害


に分類されます。上記以外にも、不安症と同様に扱われるものありますが、それらは以前用いられていた診断分類で神経症として表されていた物などがあり、分類方法により様々です。



不安症・不安障害の治療方法

不安症・不安障害の治療は、薬を使う薬物療法と、カウンセリング等を用いた心理療法の2つがあります。どちらか1つの方法で治療することもありますが、併用したほうが効果的と考えられています。

不安症・不安障害に用いられる主な薬は、抗うつ薬と抗不安薬です。最近では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ薬が使われることが多くなっています。ただSSRIは飲み始めてからすぐに効果が出てくるわけではなく、飲み続けることによって徐々に効果が出てくるタイプの薬です。そのため、すぐに効果を出す必要がある場合には不向きであり、こうした場合には抗不安薬を用いる方が適切です。一方、抗不安薬には、耐性や依存性の副作用があります。耐性は、使っているうちに身体が薬に慣れてきて効果が弱くなってきたりすることで、依存性は、薬を切らすと余計に不安が強くなることです。こうした耐性や依存性は、速効型の薬を長期間にわたって多量に使用するほど生じやすくなります。よって、長期にわたって予防的に使うのには抗うつ薬を、緊急対応に使うには抗不安薬をというのが、基本的な考え方になると思います。

カウンセリング等による心理療法にはさまざまなものがありますが、最近では認知行動療法と呼ばれる治療法が用いられることが多いです。この治療法では、まず学習的な作業として、不安が生じるメカニズムなどを学んだり、自分の不安がどれくらい現実的なものかを吟味したり、より現実的な行動はどのようなものかを検討したりします。そして、そこで検討された行動を実行してみたりします。実行する際には、自分が不安になりそうな状況に少しずつ直面していくことがあり、これを段階的曝露(ばくろ)と言います。以前なら不安になって混乱していたような場面でも、適切な行動がとれるようになることを繰り返していくことで、少しずつ自信が生じ、不安になりにくくなることをねらっています。

どれくらい治療を続ける必要があるかは、個人によってさまざまですので、主治医とよく相談していくのが良いと思います。特に薬物治療は中断すると具合が悪くなることがあります。中断や減量から1週間以内に生じる具合の悪さは再発ではなく薬のリバウンドで生じている可能性があります。再発は薬を中断してから数ヶ月以上たってから生じることもあるので、長期にわたって経過をみないと再発しないかどうかは分かりません。いずれにしても、主治医と相談しながら計画的に治療を止めていった方が、再発のリスクを低くできるものと思われます。